人類の遙かな旅路2014年06月08日

昨年度は歳の割には結構いろいろ勉強し、まとめたと思う。死ぬまでの研究テーマも固まった。その一つは「第二次大戦後の占領と日本宗教」、第二は「創価学会研究」、第三が「人間はなぜ宗教を創造し、それに制約されるのか・進化生物学、認知科学からの追究」である。

第3のテーマの勉強成果の一端が国際宗教研究所の機関紙『現代宗教2014』(電子版)に掲載されました。「宗教の起源・再考―近年の進化生物学と脳科学の成果から― 」ご笑覧いただき、さらにお教えいただければ幸いです。以下は、4月にツィートしたものをまとめました。本文下記の国際宗教研究所ウェブサイトで、他の諸論考とともにお読みいただけます。

http://www.iisr.jp/journal/journal2014/
http://www.iisr.jp/journal/journal2014/Nakano.pdf

1)宇宙は137億年前に、地球は46億年前に生まれたという。その後、地上での生物進化が進み、現生人類ホモ・サピエンスは20万年前にアフリカで生まれ、5万年前に出アフリカした150人ほどが世界を旅していった。

2)宗教の原型は音楽や踊り、儀礼など、音響や身体的運動を伴った人間の集団的運動である。それは過酷な環境を生き延びるために、現生人類の祖先が獲得した集団淘汰のための適応戦略の産物であった。ベリングによれば「心の理論」に基づく「適応的錯覚」の産物であるという。

3)宗教は近代科学以前に人間が発達させた壮大な想像力、空想力、創造力の産物であり、人間文化の重要な一部である。ゆえに宗教現象は偏在する。しかし、それは偏在する人間文化の一部であり、宗教現象それ自体の固有性の根拠にはならず、その特権的地位を主張するのは誤りとなる。

4)現世人類の祖先は5万年前にたった一回アフリカを旅立った150人ほどが、地上のすべてに拡散したと考えられる(ウェイド, 2007)。我々は長い遙かな進化の果ての最後の一瞬に飛躍的に進化し、世界に繁茂し、巨大で豊かな文明を築いた、宇宙に比類のない存在なのだ。

5)私たちの百年弱の人生は一瞬の光芒にしかすぎない。しかし一瞬の生であるからこそ、大切に光り輝く人生にしていきたいと願う。世界の人類が150人から始まったのなら、人類は本当に皆兄弟である。人種や民族、宗教の違いなどで、いがみ合って生きていくべきではないであろう。